2012年3月23日金曜日

研究概要

僕達の卒業研究のテーマは”いかに仕組みの模倣をするか”です。


模倣をする際に生じてしまう壁。
たくさんの企業が模倣に失敗してきました。

しかし、その障壁を巧みな方法で回避しているNPS研究会。

彼らはいかにして仕組みを模倣しているのか。

”学習”という視点から明らかにしました。
学術の世界へも実務の世界へも貢献できるのではないかと自負しております。



僕達の卒業論文はこちらのリンクからダウンロード可能ですので、興味のある方は是非、ブログとあわせてご覧下さい。(pdf)

2012年1月30日月曜日

論文完成!これまでの振り返りと未来の後輩へのアドバイス

こんにちは、村上です!
商学部では懸賞論文というのがあり、各ゼミ2班が応募するのですが、私たちの班はそこから漏れてしまいました。しかし、先生からいただいた改善点を潰していき、やっと先生からOKをいただくことができました。



数ヶ月という長い時間をかけてこれまで調査を行ってきましたが、これまでを振り返ってどうすればもっと良い論文が書けたのか、というテーマでこのブログを書いていきます。「敗軍の将、兵を語らず」と言いますが、今回は「敗軍の将、兵を語る」ということで。僕みたいな性格のブログ読者の方がいるか、井上ゼミの後輩たちにいるのかわかりませんが、もしいらっしゃれば参考にしてみてください。

何が原因かといえば「素直に言うことを聞かない」ということ。
よくよく思い返してみれば、誰かの言うことを聞き、何かを達成したことがありません。中学受験のときから自分流のやり方を考えてやってきたような気がします。自分流でやることは悪いことだとは思いません。これまでも良い方向に働いてきたことは多々あります。

でもゼミに入ってからはこの特性が裏目に出てばっかりだったような気がします。2年半のゼミ生活を振り返ってみると、言うことを聞かず怒られたことがたくさんありました。どれくらい怒られたかっていうと、とある先輩に「ここ何年かで一番怒らせてるんじゃない?」と言われるほど。

先生の言うことに反発して、「絶対こっちの方が良い」って思ってやってみても、そこは井上先生。高すぎて絶対越えられない。自分の目の前にその分野で一流の先生がいるのに、100%吸収しないのはもったいない。最初から反発して自分の色を出そうとするより、先生のおっしゃっていることを吸収してから自分の色をスパイスとして入れていくというやり方を踏んだほうが、吸収できて、それに自分の色も出せていいのかなと思いました。

おそらく新生井上ゼミに入ってくるような後輩たちは、自分のやり方を持っていて、反発心も強い子が多いと思うけど、反発しないで「まず先生の言うことを聞いてみる」「まず先生の言うことをやってみる」という風にマインドセットを変えることをおすすめする。最初は自分の色の出し方がわからなくて、戸惑うこともあるだろうけど、そんな悩みが消えるほど、成長できるから。たくさん新しい知識を得ることができるから、素晴らしいアウトプットを出せるから。

後輩たちに僕と同じ道を歩まないようにということで、ゼミ生活を振り返った上でのアドバイスとさせていただきました。たくさん怒られたゼミ生活だったけど、やっぱり僕は井上ゼミを選んでよかったです。(反発しなければもっと成長できたと思うけど、)たくさん成長できて良かったです。
もしこれを見ている商学部の後輩たちがいるなら、ぜひ井上ゼミの門を叩いてみてください。ちょっと大変なときもあるけれど、たくさん成長できると思います。

それでは。

2012年1月9日月曜日

論文、第一稿完成!

こんにちは、村上です。ここ数日、大学の図書館にこもり、たくさんの文献たちと戯れながら(といえば聞こえは良いですが、実際は死闘を繰り広げながら)、アウトラインを作り、論文を執筆していました。

前回要素を盛り込みすぎ、よく分からない文章になってしまったことをお伝えしましたが、今回はその時の教訓を元に、しっかり視点を絞って執筆していきました。
(※ 前回「面白くない」と言われてしまったケースの話は こちら )

自分たちで足を使って得た情報をそぎ落とすのは、もったいないなと思ってしまうため、なかなか要素を削ぎ落とすことができません。2年生のみなさんはあまり想像できないかもしれませんが、研究をしていくと必ず「情報を削ぎ落としたくないな」という気持ちになることが何度かあります。しかし、要素を削ぎ落していかないと、訳がわからない文章になってしまいます。

たくさんの要素から、前回よりも多くの要素を削ぎ落したものの、それでも要素間の関係が複雑であるため、なかなか上手く描くことができません。そこで私たちの班は、パワーポイントを使ったり、紙と鉛筆を使ったりして、要素間の関係を図式化していきました。

なんとなく頭の中でわかっていたとしても、図式化していくと考えられていなかった点があることに気づきます。この穴を塞ぎ、図に書きこんでいきます。図式化に成功したら、これをどう文章に落とし込む方法を考えます。うまく図にできていればいるほど、すぐに文章への落し込みができると私は思います。

その後、ケースを書いた時と同様、アウトラインを作り、論文を執筆しました。先生に指導していただくため、第一稿を送ったところ「学生レベルにしてはよくできている」とフィードバックをいただくことができました。

私たちの班は、なかなか模倣の理論が飲み込めなかったり、フィールドワークに行けなかったりと常に進捗が遅れていたので「先生のお褒めの言葉をいただくのはいつぶりだろう。んー前回が思い出せない。」というくらい久しぶりのお褒めの言葉をいただくことができましたが、喜ぶのもつかの間。たくさんの改善点を指摘していただきました。

今後はこの改善点を潰していき、よりよい論文を書いていきたいと考えています。

2011年12月23日金曜日

ケースを書いてみたものの

こんにちは、村上です。前回のブログでは、面白さが伝わるようなケースを書いてみることになったとお伝えしました。


このため私たちは、お手本となるモデル論文「伝統産業のビジネスシステム―350年間続くサービス産業「京都花街」のダイナミズム―」を参考に、アウトラインを書き、ケースを仕上げました。
この論文の内容が本になっているものは、以下の『京都花街の経営学』です。

京都花街の経営学
京都花街の経営学西尾 久美子

東洋経済新報社 2007-09
売り上げランキング : 20866
Amazonで詳しく見る by G-Tools


ケースや論文といっても、さまざまな型があるため、お手本があるのとないのとでは進めやすさが大きく異なります。このモデル論文を参考にアウトラインを書くのですが、アウトラインというのは簡単に言えばおおまかな流れです。論文を書く際の骨組みとなるものです。
たとえばこのブログでしたら

・前回の振り返り
面白さが伝わるケースを書くことになった
・書くときの流れ
モデル論文を参考にし、アウトラインを書き、ケースを仕上げる
・モデル論文を参考
モデル論文を参考にすると書きやすい
・アウトラインを書く
そもそもアウトラインとは、論文を書くための骨子となるもの


このようなものがアウトラインです。(だいぶ大まかに書いていますが…)。アウトラインが出来たあとは、最後に文章にするだけです。

このような流れでケースを書いていったのですが、先生がイメージしていたものと少しズレてしまっていたようで、「面白くない」と言われてしまいました。
私たちはあまり理論の視点はいれず、面白くしようと事実をともかくたくさん盛り込もうと考えていたのですが、逆に視点が定まらなかったため、読みづらかったことが原因だったようです。


これから卒業論文の執筆に当たるわけですが、次回はしっかりと理論を意識した構成で描いていければと考えています。

2011年12月15日木曜日

冬合宿を終えて~理論と事例の間で~

こんにちは、浦谷です。冬合宿に行ってきました!今回の冬合宿は長野県の八ケ岳で行いました。八ヶ岳という場所柄、ちらほらと雪が積もっていました。






私たちの合宿は、基本的に研究班ごとで現段階の研究を発表し、各自がフィードバックをしていく形式をとり、研究の質を高めていくといった位置付けで行います。
(※ 夏合宿の記事は こちら )



なので、合宿前は特に気合が入るのです!私たちの班も、文献に加えて今まで行ったインタビューの情報を盛り込み、万全を期して臨みました!

しかし、フタを開けてみるとなかなか辛辣なコメントが・・・
特に問題だったのが、NPS研究会でみられる事象を理論にあてはめようと意識するあまり、その面白さが伝わらないという点でした。
たとえば、「従来の組織学習論でいわれてきた学習のジレンマを、NPS研究会では「一業種一社」という制度を設けることで、それを回避し、互いに教えあう環境が生まれている」といった説明を羅列したところで、NPS研究会で起きていること、効果的に学習しているそのメカニズムを十分に描くことはできません。

そこで、私たちの今後の研究の進め方として、まず事例研究としてのケースを書いてみるということになりました。その際、あまり理論のことを意識せずに、単純にNPS研究会のすごさが伝えられるよう、事例を整理して書いてみては、というアドバイスをいただきました。
せっかく集めた情報が、理論に引っ張られてつまらないものになってはもったいない。研究を面白いものにするためには、まずケースを書いてみるという方法もあるということを学びました。

ちなみに、ケースを書くときのお手本として、西尾先生の『伝統産業のビジネスシステム―350年間続くサービス産業「京都花街」のダイナミズム―』(一橋ビジネスレビュー)を参考にすることになりました。この研究は「何故京都花町は350年にわたりサービス産業として継続してこられたのか」という大きな問いに対して、制度という観点から説明しているものです。芸舞妓の人材育成の仕組みから、お茶屋を中心とする取引制度に触れ、「京都花街」で起きている様々な事象を、上手く描いています。

私たちの班もこの論文のように、NPS研究会の全体像とその面白さを上手く伝えられるように、ケースを書いていこうと思います!

それでは!

2011年12月6日火曜日

NPS研究会会長へのインタビュー!

こんにちは。お久しぶりです、平田です!

前回はNPS研究会の会員会社の方にインタビューを行いましたが、今回はなんと・・・・・僕らの研究しているNPS研究会の創始者であり、 NPS研究会の運営会社であるMIPの会長兼社長である、木下幹彌様とNPS推進室長の川崎享様へのインタビューを敢行してきました!!
( NPS研究会についてはこちら )


NPS研究会自体が多くのメーカーの集合体であるということを考えれば、本当に偉大な方とお会いすることができたのだと感動しています。前回もそうでしたが、我々のような学生という身分でこんなにも偉い人にお会いしていただけるなんて滅多にあるもんじゃ無いと思います!なにせ会長の中の会長と言っても過言では無いのですから。
さすがNPS研究会の創始者ということだけあって年齢を思わせないほど(昭和4年生まれだそうです!)、熱意に溢れた方でした!  「なにも隠すことはない。」とどっしりと構えていながらも優しくお話をしていただき、楽しいインタビューでした。

今回のインタビュー先は創始者の方であるため、どのような経緯でNPS研究会ができたのか、NPS研究会のそれぞれの取り組みがどのように行われているのかということを中心に伺いました。さまざまなことを伺うことができたのですが、今日は印象に残った一つを紹介したいと思います。

それは「社長の志」についてです。
NPS研究会ではNPSという経営システムを会社に導入するにあたって、社長の志というものを本当に大事にしているのだなと思いました。まず、NPS研究会では「NPSを企業の経営思想として共鳴・共感する社長であること」 という入会資格を設けているんです。しかし、すぐに入会できるわけではなく、本当にやる気があるかどうかを判断するための試用期間が長くて3年もあって、そこで見込まれてやっと入会という厳しい道程なんです。木下会長も「工場長に社長権をあげるくらいのつもりでやらないとだめだ」とおっしゃっていました。本当に社長が自ら先頭に立って現場を想って推進していかないとだめなんですね。

「モノづくりはヒトづくり」ともおっしゃっていましたが、やはりヒトをつくるのはヒトで、その鏡となる人物が社長なんですね。かくいう木下会長もその社長を束ねる長としての鏡たる方でした。話の随所に現れる「志」や「思想」、「理念」といった言葉にはとても重みがありました。実際に会長は自社株を一つも持っておらず(創設者にもかかわらずですよ!)、会員会社が全部持っているのだそうです。それは「真剣勝負をしないと今日にでもクビになる」ようになっているのだとか。まさに社長の鏡なのではないかと思いました。

「日本のモノづくりの思想を後世に伝えていく」という大きな志をもった会長のお話を伺うことで、組織におけるトップの重要性を書籍ではなく、肌で感じることが出来てよかったなあ。としみじみ思いながら今日は筆を置くことにします。

12月に冬合宿があるため、これからフィールドワークで得た情報をまとめていこうと考えています。次回は冬合宿の様子をお知らせしたいと思います!

2011年11月28日月曜日

NPS研究会 会員会社へのインタビュー!(初)

こんにちは、村上です。
やっと研究対象であるNPS研究会の会員会社の方にインタビューすることができました!フィールドに出てインタビューを行うことが井上ゼミの調査の特徴と以前のブログで書きましたが、4月ごろチームを組んで、やっと11月末に対象企業にインタビューに行くという井上ゼミらしくない研究スタイルになってしまいましたが、とりあえずインタビューに行くことができてホッと一息。

インタビュー先は「株式会社キッツ」(企業webサイトはこちら)というバルブを作っている会社の方した。売上高にして500億円以上という大きな会社の方にインタビューすることが出来ました。しかもなんとお会いして下さったのは取締役会長とNPS社内実践委員をやっていらした技監のお二人でした!我々のような学生にお会いしていただけるなんて本当に感動的でした。紹介してくださった松尾先生には感謝してもしきれません。

また前回、松尾先生から「学習や模倣のフレームワークをしっかりと押さえること」とアドバイスをいただいたため、インタビューに行く前までに学習論のレビューを行いました。CiNiiなどで論文を検索し、たくさんの論文を読み、インタビューに備えました。
このようにしっかり準備をした今回のインタビューで聞けたことはなんなのか。
・学習のジレンマを引き起こさないために同業他社は研究会に入れないこと。
学習のジレンマというのは、お互いに「自分は教えたくないけど、相手には教えて欲しい」という状況になってしまい、結局どちらも何も学べなくなってしまう状況のことを指します。これは「学ぶ相手が競合企業」ということが原因になり、強みが流出してしまうことを危惧し起こってしまいます。NPS研究会では競合企業を入れないことによって、原因を取り除き学習のジレンマが起こらないようにしていることがわかりました。

・会員企業同士でフィードバックをしあい、学習効果を高めていること。
報告会や工場見学などで会員企業同士が、とても厳しくフィードバックすることが頻繁にあるそうです。これによって、自分たちだけでは上手くできなかったことも死に物狂いで行なうようになり、学習が成功するようです。

・組織には慣性の力が働くため、新しいものを浸透させる際にはたとえ自分が嫌われ役になろうとも推し進めなければならないということ。
組織には「そのままでいたい!」というような力、すなわち慣性の力が働きます。新しいものを導入する際には、この慣性が障壁となります。これを乗り越えるためには嫌われ者になることも辞さない強烈なリーダーシップを持つことが重要だそうです。また一度新しいものを導入することができても、すぐに元に戻そうという力が働くため、少しでも傾向が見られたら、すぐに正すことが大切ということもおっしゃっていました。

これ以外にもたくさんのことを伺うことができました。やはり経営陣の方というだけあって、非常に多くの知見が頭の中に蓄えられており、一言一言がとても勉強になりました

今回はNPS研究会の会員会社の方にお話を伺いましたが、会員会社だけの意見だけではなく、運営している側の意見もお聞きしたいと考えております。次回はNPS研究会を運営している方へのインタビューをお届けします。